自動車専門誌の草分け的存在であり、自動車ジャーナリズムの礎を築いたのが、創刊57年を数える『CAR GRAPHIC』誌。このメールマガジンでは同誌と協力しながら、ジャガーの魅力をお届けする。
ジャガーが人々を魅了してきた理由を6つのセンスから探る「シックス・センス」。最終回となる第6回は、「ジャガーのセンス」と題して、著名な作家の小説に登場するジャガーを取り上げた。
『ビッグ・キャットはしなやかに』(五木寛之)
五木寛之の『雨の日には車をみがいて』には、クルマが重要な役割を果たす9つの短編小説が収められている。
『ビッグ・キャットはしなやかに』というタイトルのストーリーには、ジャガーXJ6が登場する。主人公の「ぼく」は、付き合いはじめたばかりのガールフレンドが運転してきたジャガーXJ6に心を奪われるのだ。
どの角度から見ても文句のつけようのない美しい車だった。英国流の真のエレガンスという言葉は、(中略)やはりこのXJシリーズだけに使われるべきだろう。
豪華でありながら気品のある内装に感嘆した「ぼく」は、生まれてはじめて運転するジャガーを次のように表現する。
このジャグヮーのパワー・ステアリングはほんのちょっと指先で押しただけで、思いのままのライン上をすべるように身をかわしてゆけるのだ。
発表されてから何十年もたっている古風なストレート6のDOHCエンジンは、なんともしなやかな回転の上がりかたをした。
ほんの数行でジャガーの本質的な魅力を伝えるあたり、日本を代表する作家の力量はさすがだ。同時に、作者の自動車に対する愛情と、ジャガーというブランドに抱く敬意も伝わってくる。
ジャガーが単なる自動車としてではなく、もっと大きな役割を担って登場する小説は、ほかにもある。
『騎士団長殺し』(村上春樹)
村上春樹の『騎士団長殺し』の主人公である「私」は、人里離れた一軒家で肖像画を描く画家だ。あるとき、肖像画を依頼されたことで免色涉という男と知り合う。ひとりで白亜の豪邸に暮らす免色は、ミステリアスな紳士として描かれている。
「私」と交流を持つようになった免色のガレージには、4台の英国車が収められている。オリジナルのミニ、レンジローバー、そして作中では最新モデルという扱いだった初代ジャガーXKと、ジャガーEタイプのロードスターだ。
4台のなかで、特にジャガーの2台は免色という男の人となりを描写するのに大きな役割を果たしている。
免色は、言葉使いも丁寧で、身なりもきちんとしたジェントルマンだ。筋力トレーニングも欠かさずに行っている。けれども、どこか浮世離れしたミステリアスなところがある。どのように収入を得ているのかもわかりにくい。
このつかみどころのないジェントルマンを描写するのに、新旧2台のジャガーはうってつけだった。なぜなら、「パワーがあるのに繊細」「獰猛なのに優雅」というジャガーの多面性が、免色という男の複雑な内面を表しているからだ。
五木寛之も村上春樹も、クルマ好きとして知られる。ふたりの大作家の作品を読むと、ジャガーには創造性を刺激する特別な“センス”が備わっているように思えてくる。
ぜひお近くのジャガー正規ディーラーで、この特別なセンスを感じていただきたい。
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