「史上最もワイルドなアストンマーティン」と呼ばれるサーキット専用モデルのアストンマーティンVulcanに、新たな高性能ブランド、AMRが究極のパフォーマンスを目指して開発した「パフォーマンス・アップグレード・パッケージ」が設定されました。英国で高い人気を誇るモータースポーツイベント、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で今回初公開されるアストンマーティンVulcan AMR Proは、徹底した空力の強化とショート化されたギヤレシオにより、ダウンフォース、アクセルレスポンスを高めて、サーキットでのラップタイムをさらに短縮します。これによって、世界最高峰のサーキット専用車が、さらなる高みへと引き上げられることになります。
820BHPのハイパワーエンジンを搭載し、2016年にわずか24台のみが製作されたアストンマーティンVulcanは、ルマンで優勝したレースカーの興奮を伝えるとともに、パフォーマンスにおいてはさらにそれを上回るモデルとして設計されました。アストンマーティンVulcanの各オーナーは過去2年のあいだ、アストンマーティンのプロフェッショナルなインストラクターから、特別なドライビングレッスンを受けてきています。そのインストラクターのなかには、アストンマーティンのワークスドライバーで、過去3回ルマンの勝利者となっているダーレン・ターナーも含まれています。
Vulcanオーナーのためのエクスクルーシブなドライビングレッスンの舞台となったのは、米国の「サーキット・オブ・ザ・アメリカズ」、ベルギーの「スパ・フランコルシャン」、アブダビの「ヤスマリーナ」、そして、地元イギリスの「シルバーストン」といった、F1レースも開催される世界有数のサーキットです。アストンマーティンVulcan AMR Proの登場により、もともと傑出したVulcanのパフォーマンスがさらに高まることで、オーナーの方々もより一層ドライビングスキルを磨き、これまで以上に特別なドライビング体験を満喫することになるでしょう。
アストンマーティンVulcan AMR Proによる特別な空力対策は、フロントエンドから始まります。フロントホイールアーチの上にルーバー付きパネルを追加して、そこで高い風圧を生み出しリフトを削減。ノーズの両側には、大きめのダイブプレーン(下向翼)を設置して、フロントの接地性を高めました。大型のフロントスプリッターの下側に設定した回転式のヴェインも、ステアリングレスポンス改善に寄与しています。カーボンファイバー製のレイアップとコアフォームの設計を最適化することで、エンジンカバーを5kg軽くするなど、重量軽減にも取り組みました。
また、車体のリヤ部分についても、新形状のリヤウイングを採用するなど、効果的かつ大胆な改変を施しています。オリジナルのシングル・タイプからダブル・タイプの設計に変わったリヤウイングには、高さ20mmのガーニーフラップを設置。リヤウイング後端で垂直に立ったこのフラップが、シンプルながらも高い効果を生んでいます。ウイングの両端にあるスロット入りのプレートにも15mmのガーニーフラップを設定して、ダウンフォースを最大化しました。
こうした空力対策の総合的効果により、ダウンフォースは、標準仕様のアストンマーティンVulcanの3,150Nmから4,000Nmへと劇的に向上しています。ちなみに、2017年のルマンでクラス優勝したアストンマーティン・レーシングのVantage GTEのダウンフォースは3,104Nmでした。また、対策の効果で、空力面での車両バランスも変わっており、圧力中心が前方に移動して車体の中心点に近づいたことで(標準仕様のアストンマーティンVulcanの41.5%に対し47%に)、トラクション、ステアリングレスポンス、フロントのグリップがそれぞれ改善しています。
アストンマーティンのワークスドライバーであるダーレン・ターナーはアストンマーティンVulcan AMR Proについて、次のように語っています。「幸運にも私は、開発過程からアストンマーティンVulcanをドライブしてきましたし、発売後の数々のお客様向けイベントにも参加してきました。Vulcanは、ルックスにおいても、サウンドにおいても、もちろん性能の面でも、真に驚嘆すべきクルマだと思います。それだけに、運転面で手に負えないクルマにならないように努力してきました。AMR Proのアップグレード・パッケージも、そうしたテーマで開発されています。前後のダウンフォースが増強されたことで、また前後のバランスが改善されたことで、より扱い易いクルマになっています。また、ギヤレシオを短くしたことで、瞬発力がさらに向上し、敏捷性もステアリングレスポンスも高まっています。一度高速コーナーを攻めれば、空力対策の素晴らしい効果を実感していただけるはずです。お客様が実際にステアリングを握って、クルマを体験したときの笑顔を、一刻も早く見たいと思っています。」
アストンマーティン副社長兼チーフ・スペシャル・オペレーションズ・オフィサーのデイビット・キングは、アストンマーティンVulcan AMR Proについて次のように述べています。「アストンマーティンVulcanを最初に企画したときに、アストンマーティンのワイルドな面を表現したクルマを創造したいと考えました。その結果、究極のサーキット専用車であると同時に、世界選手権レースのレギュレーションや制約に囚われないクルマが誕生しました。これは、ファンタジーの世界で楽しむ類のクルマですが、なにより、最も熱烈なアストンマーティンファンに支持されなくてはなりません。その後、24台すべてのVulcanを製作して納車を終了した我々は、モータースポーツを戦う場合と同様、どのようにしたらこのクルマをさらに速くできるか考えました。そうして作られたのがこのアストンマーティンVulcan AMR Proです。ショート化されたギヤレシオにより、コーナーとコーナーのあいだでは驚くべき加速が味わえるはずです。徹底した空力対策によりダウンフォースと前後バランスが向上したことにより、お客様はより自信を持って、その圧倒的なパフォーマンスを堪能できるようになるでしょう。」
アストンマーティンVulcan AMR Proアップグレード・パッケージのキットは、特別作業部門のQ by Aston Martinによってクルマに装着されます。アップグレードの作業は、す でに開始されており、秋には最初のクルマが完成する予定です。アストンマーティンVulcan AMP Proは、「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」の会場において一般公開されることになります。