ランドローバー、最速ヨットの開発でランドローバーBARと連携第35回アメリカズカップ優勝を目指し技術協力

LR_tps_160229_02.jpg

ランドローバーは、ベン・エインズリー・レーシング(BAR)とのパートナーシップのもと誕生したランドローバーBARとして、2017年に開催される世界最高峰のヨットレースである第35回アメリカズカップを目指し、アメリカズカップ最速のヨット開発に向け協力して開発を進めている技術情報を公表しました。今回、2016年の初戦となる、ルイ・ヴィトン アメリカズカップ・ワールドシリーズ オマーン戦(開催期間:2月26~28日、開催地:オマーン・マスカット)に先立ち発表しましたが、通常、アメリカズカップ参戦チームが技術情報を公開することはなく、スポーツ界で最もその設計が勝敗を左右するとされるレースにおいて、極めて異例なことです。

「R1」というコードネームがついたアメリカズカップ仕様のヨット(双胴船)には、ランドローバーの設計、技術、革新的な専門知識が反映されています。このヨットの重量は2トンを超えますが、船体を水中翼に働く翼揚力を利用して、水中から浮かび上がらせ、抵抗を抑制して速度と効率を向上させるフォイリングと呼ばれる技術により、速度は50ノット超を達成します。

「R1」の正式発表まで約11か月となりましたが、ランドローバーのアドバンスド・エンジニアリング・チームは、ランドローバーBARのデザイナーやエンジニアたちと協力して、テスト用にプロトタイプを複数開発しています。この開発プロセスを通じて、世界最速のアメリカズカップ仕様ヨットが完成します。

ジャガー・ランドローバーのリサーチ部門を統括するトニー・ハーパーは、次のように述べています。「フォイリング技術の誕生以来、比較的小さな表面積においてバランスをとりながら、この極めてパワフルなマシンをいかにしてコントロールするかが、最大のチャレンジのひとつとなっています。ランドローバーBARとのワークストリームの中で不可欠なパートである、エアロダイナミクス、機械学習、高度データ処理の分野においては、ジャガー・ランドローバーから最も有能なエンジニアたちを選り抜きました。海は当社にとっては新しい領域ですが、この11か月の成果をヨットの最終的な設計に反映し、そして当社の研究開発部門に還元していきます。」

まず、ランドローバーは、最初の注力分野として、ボーイング社製航空機737型機の翼のサイズに匹敵する、78.6フィートのカーボン・ファイバー製の”硬い”帆の開発に取り組みました。この帆が、ヨットの唯一の推進力源となります。ランドローバーの製品開発の要となる数値流体力学(CFD)と有限要素解析(FEA)を組み合わせ、複雑なエアロダイナミクスを解析し、ヨットの速度向上を実現しました。

またランドローバーは、大容量データ処理能力に関する高い技術や機械学習分野における経験と専門知識を生かし、セーリング・データの傾向を把握することでヨットのパフォーマンス最適化に貢献しています。

ランドローバーBARのチーフ・エグゼクティブ・オフィサー(CEO)、マーティン・ウィットマーシュは、次のように述べています。「この4年間で、私たちはアメリカズカップで戦うごとに大きく進化していることに、皆さんは驚かれるでしょう。この海のF1では、F1と同じように、従来の手法や技術、設計だけでは戦闘力をもって戦い抜くことはもはや不可能です。ヨット自体は進化しており、それはトップスピードだけでなく、加速性能や方向転換能力においても同様です。競合についていくのではなく、打ち負かすためには、ランドローバーの膨大な専門的なノウハウとテスト用ツールが必要なのです。私たちはまだスタートラインに立ったばかりです。この先の道のりは長いですが、大きく前進しており、今後の結果が楽しみです。」

現在のアメリカズカップの規定では、ヨットにパワーを蓄えておくことはできず、すべてのパワーをウイングとセーリング・チームのメンバーで創出しなければならないため、レース中は高水準の体力が求められます。ここでもランドローバーのヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)分野における専門知識が役立っており、ヨット向けに最適化したディスプレイや計器を開発し、使用可能なパワーを把握し有効活用できるようにします。

ランドローバーBARチームのプリンシパル兼スキッパーのベン・エインズリーは、次のように述べています。「このレースは水陸の両方で勝つ必要があります。アメリカズカップはセーリングの最高峰です。世界最高のセーラーとチームが求められますが、何よりも重視すべきは、どのチームも最速のヨットで勝利するために、設計や技術の専門性を生かした努力をしているということです。私たちの最大の課題は、エアロダイナミクスです。ヨットのほとんどの部分は水の上にあるので、パワー供給を最適化し、データ解析を通じて制御システムを理解する必要があります。競争は激しく、数秒の差で決着がつくレースも珍しくない中、このプロジェクトにランドローバーが協力してくれたことは大きな強みになるでしょう。」

ランドローバーBARチームは、2月26~28日に開催されるルイ・ヴィトン アメリカズカップ・ワールドシリーズのオマーン戦に第3ポジションで参戦します。

 

■ランドローバーBARについて

ベン・エインズリー・レーシング(BAR)は、ケンブリッジ公爵夫人列席のもと、2014年6月10日に結成されました。このチームは、オリンピックで4個の金メダルを獲得し、第34回アメリカズカップで優勝した、ベン・エインズリー氏により発足されました。ベン・エインズリー氏は1851年に英国で始まったアメリカズカップの優勝トロフィーを奪還し英国に持ち帰るべく、結成した英国チームを率います。これはいまだどのチームもなしえていないことです。

ランドローバーBARは民営のスポーツ・チームで、企業パートナーとともに多くの個人投資家の支援を受けており、英国内外の最高レベルのセーラー、デザイナー、職人、サポーターで構成されるチームです。

スポーツ・チームは社会における重要な模範となり、名誉ある立場です。これはランドローバーBARにおいても同様で、当チームが及ぼす影響力は、レースの垣根を超えて広く波及していくことを前提に、2014年に「Exclusive Sustainability Partner 11th Hour Racing」とともにチームを立ち上げて以来、運営におけるサステイナビリティ(持続可能性)を重視しています。

英国ポー ツマス中心部に7万4,000平方フィートもの本部拠点を新設し、ランドローバーBARのさまざまな活動を担っています。「1851 Trust」によるビジター・センターも公開予定です。「1851 Trust」は、ケンブリッジ侯爵夫人がロイヤル・パトロンを務めるランドローバーBAR公式の慈善事業です。

2度目となるルイ・ヴィトン アメリカズカップ・ワールドシリーズ ポーツマス戦は、2016年7月21~24日に開催されます。2015年のポーツマス戦では、水上からの観戦者2万5,000人を含む約25万人の観客を動員しました。2016年は、レース観戦とホーム・チーム応援のために、さらに多くの観客で賑わうと予想されています。

ランドローバーとランドローバーBARに関する詳細は、下記からもご覧いただけます。
http://www.landrover.co.jp/experiences/sponsorship/ben-ainslie-racing.html

]]>

2016.02.29